狙い目の上場子会社銘柄の探し方とは?

株式現物

本日のコラム:上場子会社株の発掘の仕方とは?

筆者が進める株式投資の方針は「上場子会社株を第一に据える」と言いましたが、国内だけでも上場子会社は約250社存在しており、その中で1つ1つ調べてTOB確率が高い銘柄を探し出そうとすると中々大変です。

そこでThe・コンサルみたいなアプローチですが2軸に切って考えるとより分かりやすいと思います。

つまりはその上場子会社が「親会社にとって必要な事業か否か」、そして「親会社が現金余剰か現金不足か」の2軸で判定すればいいというわけです。

日本の会社の場合は多くの場合キャッシュリッチなので、親子上場解消の場合多くが親会社による完全子会社化になってしまっているのが現状ですが、基本的にこの2軸で見ると綺麗だと思います。

例えばNTT/ドコモの案件は、NTTにとって5G等のポテンシャルを秘めているケータイ会社は何としても手中に収めておきたいと考えたので「親会社による完全子会社化」を選択したと言えます。

しかし4兆円以上をかけて買収するため、NTTにとって追加の資金調達が必要になることはマストです。

つい最近ちょうどブルームバーグで国内債として最大の5,000億円の起債を考えている旨のリーク報道が出ていました。

NTT起債準備、ドコモ買収で5000億円以上の調達目指す-関係者

(2020/11/13 ブルームバーグ)

NTTが社債発行を準備していることが13日、分かった。複数の関係者によると、総額5000億円以上を目指す。NTTは9月にNTTドコモの完全子会社化を決めており、買収資金に充てるため大型の資金調達に踏み切る。

関係者によると、年限は3、5、7、10年の4本立て。発行規模は市場状況によって変更するとしている。総額5000億円を超えた場合、国内での一度の起債額として最大となる見込みだ。NTTの起債については13日付日本経済新聞朝刊が報じていた。日経によると主幹事はSMBC日興証券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほ証券、野村証券、大和証券が務める。

NTTの広報担当者は起債の計画は認めた上で、タイミングや規模についてはコメントを控えた。

国内の第5世代(5G)移動通信システム活用や次世代の通信技術開発競争が激化する中、NTTはドコモを完全子会社化して意思決定のスピードを速めたい考えで、ドコモに対し総額4兆2545億円で株式公開買い付け(TOB)を実施している。買い付け期間は16日までで、今期(2021年3月期)中に完全子会社化する予定。

NTTは発行済み株式総数の3分の1以上を政府が保有することが法律で定められており、新株発行による資金調達は難しい。このためNTTの澤田純社長は10月のインタビューで、まず銀行の協調融資を受け、借り換えのための社債発行を視野に入れているとの見方を示していた。円債だけでなくドル建て債の発行も検討しているとしている。

澤田社長は、通信領域での米中摩擦激化はNTTが世界展開を拡大するチャンスだとみる。NTTはあらゆる情報処理基盤に光技術を取り込み、高速かつ省エネの情報処理を実現する「IOWN(アイオン)」構想を19年に提唱。インテルとソニーを巻き込んでグローバルフォーラムを結成し、マイクロソフトや富士通、トヨタ自動車などが参加している。固定通信と無線通信の融合でサービスの幅を広げる考えだ。

 国内社債市場ではセブン&アイ・ホールディングス(7&iHD)が3本立てで最大4000億円を今月下旬にも起債する見通し。日本企業による大型合併・買収(M&A)の増加とともに社債発行額も大型化する兆しがある。現時点で、ソフトバンクグループや武田薬品工業、パナソニックが発行した5000億円が最大となっている。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-11-13/QJPICST0G1KW01

NTT/ドコモのセルサイドFAである野村はしっかり主幹事にも選定されておりボロ儲けですね。

そういえばバイサイドFAの三菱モルガンも主幹事に入っていますが、もしこの起債案件の主幹事が仮にNTT/ドコモ前に決まっていたとしたら利益相反的側面から見て相当怪しいです。

というのも本来バイサイドFAには「いかに安く買い叩くか」というインセンティブが働くべきですが、逆に起債の主幹事の場合は「いかに起債額を大きくしてフィー総額を上げるか」というインセンティブが働きます。

すなわち買収価額が大きくなって調達しなくてはいけない金額が大きくなった方が三菱モルガン的には儲かるのです。

この点で三菱モルガンには利益相反が誘発されやすくなる構造に見えます。

まあ誰もそこをつつく人はいないかもしれませんが。

少し話が脱線しましたが、本来的にはこういった大型買収が発表された後は買収企業側の上場子会社を洗い出し、ノンコアっぽい銘柄に指値を入れておくのが賢い選択肢です。

調達に加えて子会社売却で手元キャッシュを確保しようと経営陣は考えるはずですからね。

ただNTTの上場子会社は現状NTTデータしかなく、これはむしろ将来的に完全子会社化するのでは?と言われていたりもするのでとてもノンコアとは言えません。

というわけで残念ながらこのディールからは新規の上場子会社株を仕込むことはできなかったわけです。

仕方なく筆者はまず「親会社にとってノンコア事業」で「親会社が自ら売却の意向を示している」点で例えば日立系の子会社に張るというのは良い戦略と言えるでしょう!

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