弱小県立高校から東大現役合格へ
日本の最高学府として名高い東京大学。
ノーベル賞受賞者、文豪、総理大臣、起業家、芸能人等の幅広い卒業生を輩出している日本No.1のタレントが集う学び舎であることはご周知だと思います。
その「東京大学」という最高のプラットフォームへの漠然とした憧れ。
勉強に熱心に取り組むようになった中学時代から、その想いは徐々に大きくなっていきました。
しかし高校受験は最終的に地域の進学校に進む結果となった僕にとって、東大合格というのはあまりにも高いハードルのように思えました。
その高校は進学校とは言えど、東大合格者の現役生は5年以上出ていないという体たらく。
進路指導等もやる気がなく、先生たちはただ毎日淡々と授業をして定年を迎えることを待っているかのようなモチベーションの低さ。
ただし学校としての活気はあるので、部活動や行事(文化祭、体育祭)といった活動には精を出す文化が根付いており、巷では「4年生高校」と揶揄されることもしばしば。。
…と前置きが長くなりましたが、僕はこのような学習環境の中、結果として現役で東京大学合格を勝ち取ることができました。
それまでは割と日の目を浴びるような人生ではなかったですが、この成功体験によってその後の人生の歯車は確実に変わったと思います。
特に勉強という分野は部活動と異なり、自分の努力がダイレクトに結果として見える領域だという感覚があるので、結果をもぎ取ったことによる自信は相当なものでした。
(部活動は相手が強敵だった瞬間敗北ですが、勉強は難しい問題が出て解けなくとも、周りの人も同様にその問題を解けていない可能性が高いので、結果としてそういった「捨て問」では差がつかず、コツコツ努力して身に付けた基礎力・応用力をベースに確実に正答できる問題を押さえれば結果が出やすいのです)
地方弱小公立高校、かつ塾にも中々通えない環境というお察しの学習環境下においても、適切な分析と戦略に基づく学習計画を立てられれば、東大合格はそう決して難しいわけではありません。
開成・麻布・武蔵のような御三家と言われる超進学校にも通っておらず、周りに話を聞ける東大合格者の人もおらず、経済的・物理的に塾や予備校に通う力もない高校生の皆さんは、ぜひこの記事をブックマークして、むしゃぶりつくように読んでみてください。
僕が東大合格を勝ち取ったのはもう5年以上前ですが、受験勉強におけるエッセンスは変わっていないはずです。
高校時代の基本情報
高校時代の僕のスペックをもう少し知っておいた方が具体的に受験ストーリーを理解しやすいと思うので、追加情報を下記にまとめてみました。
高校
県内4~5番目程度の県立高校(偏差値68)。現役の東大合格者は5年以上出ておらず、浪人しても3年に1人出るかどうか。受験指導や進路指導は皆無
部活動
運動部に所属し週6で活動(月曜オフ)。引退時期は高3の7~8月
勉強
ベネッセの校内模試で学年4~10番前後。1番を取ったことはない。好きな科目は日本史
塾/予備校
高3の4月までは全く通わず。それ以後も週1の受講頻度のため実質的に自習ベースでの学習方法
端的に言うと、結構弱者です(笑)
高1~2ではじっくり受験勉強をするような環境になかったのが分かって頂けたと思います。
学校の雰囲気としては、MARCH合格で「おお!」と思われ、早慶上智合格で「半端ないな!」と羨望の的になるようなイメージ。
国立大学(地方駅弁)に受かるようなことがあれば「ネ申」と扱われるようなレベルなので、東大合格というのがいかに非現実的であるかが分かると思います。
そんな高校でも最高4番だった僕なので、普通に考えれば箸にも棒にも掛からぬ結果となるはずなのですが、蓋を開けてみると学年で東大に受かったのは僕だけでした。
現役合格では5年ぶりだったので、学校をあげてのお祭り騒ぎとなったのは良い思い出です。
こんなバックグラウンドを持っているので、個人的には「努力する場所」と「努力のやり方」を間違わなければ誰でも東大合格のチャンスはあると思っています。
大学受験の合格実績
僕の大学受験の結果はこちら。
■合格校
東京大学文科三類
慶応義塾大学文学部
慶応義塾大学商学部
早稲田大学文学部
早稲田大学人間科学部(センター利用)
上智大学文学部史学科
■落選校
なし
■センター試験
合計761/900点(84.6%)
※国語:177/200
※数1A :90/100
※数2B :56/100
※英語 :182/200
※日本史:91/100
※地理 :76/100
※化学基礎:50/50
※生物基礎:39/50
(英語リスニング:44/50)
■東大二次試験
国語 :71/120
数学 :19/80
英語 :68/120
日本史:39/60
地理 :39/60
ちなみに合格最低点からは+10点前後というギリギリの合格でした。
お察しの通り数学がゴミのようにできないド文系ですが、文三であればそれでも何とかカバーが利きます。
僕のような環境で東大を目指すのであれば、一般的に合格最低点の低い「文科三類」もしくは「理科二類」を受験することをオススメします。
前者は主に文学部・教育学部へ進みやすく、後者は主に農学部・薬学部へ進みやすい科類ですが、入学後に勉強を頑張ればより上位学部に進むことも可能なので、まずは東大にどうやって入るかを第一目標に考えましょう。
それではシンプリンの東大合格ストリーの、はじまりはじまり。
高校1年生
晴れて高校に入学した僕は、部活の新歓もほどほどに運動系の部活に入部。
というわけでいきなり受験勉強から遥か遠い体育会系な時間を送ることになります(笑)
部活動に明け暮れる毎日
運動系の部活に入ってガッツリ活動していたので、高校生活の半分以上は部活でした。
別に強いわけでもなくむしろ弱小校に分類されるんですが、部活動が盛んな学校ではあったのでどの部活も結構ちゃんと活動してました。
平日月曜日が一日オフで、それ以外は放課後19:00まで練習。
土日も練習試合や公式戦が入るので、勉強時間は全く確保できていませんでした。
特に最初の頃は先輩の練習についていくので精一杯なので、帰宅後はすぐにベッドでバタンキューでした(笑)
勉強はテスト勉強のみ
そうは言いつつ中間試験や期末試験はちゃんとやらないといけないので、試験2週間前くらいからは多少勉強してましたね。
学校から指定された教科書や問題集を見ておくくらいでしたが。
高校1年生の時の試験科目のラインナップは以下の通りです。
学習指導要領は度々変わっているので今は若干違う名前になっているかもしれませんが、要はかなり基礎的な科目(≒特段カリキュラム的に進みの早い科目ではない)というわけです。
- 英語「長文」「文法」「リスニング&スピーキング」
- 数学「数1」「数A」
- 国語「古文」「現代文・漢文」
- 社会「地理」「現代社会」
- 理科「化学基礎」「生物基礎」
一応どの教科も80点以上は取っていましたし、評定も5段階中5を貰っていました。
ですが余りに付け焼き刃の努力であることは間違いないので、受験の結果に直接役立ったかは微妙です。。
高校2年生
ろくに勉強していなかった高校1年生が終わり、晴れて高校2年生に進級しました。
部活動に明け暮れる毎日(2回目)
進級したはいいものの相変わらずの部活生活。
むしろ2年生としてだんだんチームの中核を担うことが多くなり、さらに拘束時間は増えていきました。
部活動は非常に楽しかったですし人生経験としても大きなものを得られましたが、勉強という面から見ると大きなディスアドバンテージになっていたのは確かですね。
高2秋に訪れたある書籍との出会い
「そろそろ進路選択しなきゃなあ」とようやく考え始めたのが、確か高2の10月。
高3からは自分で授業選択をする必要があったので、そのガイダンスがあったと同時に進路を考え始めた感じ。
一応自分としては上位大学に行きたいとは思っていましたが、ぶっちゃけ受かる確率なんてたかが知れてるなとも思ってました。
本音を言えば「東大を一応目指しておいて、東大落ちで早慶に引っかかってくれればいいかな」くらいに考えてましたね。
ということもあり、久しぶりに本屋さんに行って参考書の棚を眺めていた時にある本に出会ったんです。
和田秀樹さんは現役精神科医であり、受験評論家でもあります。
灘中高→東大理三→医学部卒業という華々しいキャリアを歩んでおられます。
当時は和田さんのバックグラウンドを知らなかったのですが、パラパラ立ち読みしていると「これはタメになるぞ!」と思い即購入しました。
在庫があるようなら皆さんもぜひ購入してみてください。
独学中心で東大合格を目指す人にとっては、マジでタメになります。
一橋大学社会学部を第一志望に据えたプラン、早慶上位学部を第一志望に据えたプラン、東大を第一志望に据えたプラン等、受験生に合わせて様々なケースを用意し、想定スケジュールを敷いてくれています。
基本的には塾を使わず、自分で市販の問題集を使い勉強を進めていくスタイルでの勉強法なので、当時の僕にとってはかなり役立ちました。
高校2年生冬(12月~翌年3月)
和田さんの本を読んだおかげで「独学でも難関大学に受かるんじゃないか?」と付け上がり始めたのがこの時期。
適当にネットからスケジュール表をダウンロードして印刷し、シコシコと勉強の予定を記入していました(笑)
これは余談ですが勉強の予定を入れるときは「〇〇問題集 p12」みたいになるべく具体的にしたほうが良いです。
「英語」とか「国語」とかフワッとしてると、結局どこをやればいいか不明確ですしゴール設定が不明確だと勉強もはかどりません。
予定を作成するときはできるだけ具体的にしましょう。
英語と数学を優先的に勉強
和田秀樹さんは「英語・数学を固めることが先決!」と言うご主張をされており、忠実にその教えを実行することにしました。
受験英語に関しては大きく3ステップあると定義して、まずは1ステップ目に着手しました。
- 基礎的な単語・文法を押さえる
- 長文読解をガリガリやりつつ、覚え漏らしていた単語や文法を入れる
- 赤本で仕上げる
英単語に関しては、高校の副教材として手元にあった「ターゲット1400」から手を付け始めました。
カッコつけて「ターゲット1900」も買ってみましたが、結構範囲は被ってるので手元にあるほうで良いと思います。
オススメの使い方としては「雑に何周も繰り返す」という勉強術です。
これは単語帳全般に言えるんですが、1周できっちり覚えようとしても絶対忘れます。
そうではなくフラッシュ計算みたいな感じでとりあえず目に映すんです、単語を。
1周目はパパパパーッってページをめくってるだけでもいいです。
そうすることによって、単語を「知らない状態」から「見たことある状態」状態にします。
2周目が終わると「見たことある状態」から「もうちょっとで思い出せそう状態」になります。
3周目が終わると「もうちょっとで思い出せそう状態」から「8割くらいの確率で思い出せる状態」になります。
そして4・5周目くらいには「そんなの余裕で覚えてるわ状態」になります(笑)
とにかく単語を目にいれる回数を増やすのが大事。
1周目なんて3日で1周くらいの雑な読み方で全然いいです。
少し工夫したい人は「赤シート」を上手く使って、3秒だけ日本語の意味を隠して英単語を見つめましょう。
3秒後に赤シートを外して日本語訳を目に入れたら、また次の単語。
そうやって雑に繰り返すだけでも、2周目・3周目には見違えるほど単語力がアップしてます。
最初は「institution」と「substitution」の違いが分からなくても、2周目には「うーん、なんか建物系の単語だったはず…」「うーん、institutionと似てるけど違う意味だったはず」って感じになる。
んで、2周目・3周目って繰り返すと「施設(ドヤ)」「代用(ドヤ)」みたいな感じになります。
僕はこうやって単語力を上げていきました。
2年生の12月~1月はこんな感じでターゲットやりまくってましたけど、5周して飽きたのもあって1月下旬からは『DUO』に変えました。
DUOを使うと熟語も単語も一気に覚えられるのでオススメです。
DUOは計1600語の単語が収録されており、ターゲット1900と勿論かぶる単語もあります。
とは言えかぶりを除いたとしても計3000語程度はカバーできていると思って大丈夫です。
大学受験に必要な英単語は『ターゲット1900』と『DUO』で事足りるのでご心配なく!
あとはとにかく例文が面白いので、楽しみながら英語を勉強できるのがいいですね。
次に数学に関して。
この時期はとにかく基礎固めが大事です。
死ぬほどオススメしたいのは青チャート。
数学苦手な文系学生の唯一のオアシスだと思ってます。
使い方としては「例題だけをとにかく解きまくる」というだけ。
練習問題とか章末問題は無視していいです。
例題のすぐ下に答えが載っているので、答えを隠しながら問題を解いて、解き終わったらすかさず答えを確認。
こうすることで高速に問題を処理していきます。
1Aの例題が200題前後、2Bの例題が250題前後なので、1日20題ずつ解いていけば1Aは10日、2Bは2週間弱で終わります。
「なんだよ、例題ごときの簡単な問題解いてるだけで東大受かんのかよ!」とお思いの皆さん。
この基礎固め、かなり重要です。
東大の二次試験レベルの問題であっても、普通に例題で使うベーシックな知識を組み合わせるだけで解ける問題は、文系数学なら余裕で出ます。
もはや基礎固めというか受験対策にもなるわけです。
ちなみにシンプリンはこの基礎固めをおろそかにしたので本番で大コケしました(笑)
自戒を込めて言いますが、この青チャート基礎固めはマジで重要です。
時間があるなら2周しても良いレベル。
国語と社会は後回し
国語と社会はというと、こいつらはひとまず後回し。
英語・数学に飽きたときの息抜き程度に触れるくらいでした。
国語に関してはこの時期はやる気がなかったので、Z会が出してる漢文の単語帳を気まぐれに読んでましたね。
「1年後にスラスラ漢文ができるようになればいいなあ」みたいな脳内お花畑状態で読んでました(笑)
結果的にこの時期に漢文アレルギーを除去できていたおかげて、秋冬の追い込みが効率化したのは棚ぼたでした。
ヒマだったら触れてみるといいかも。
社会に関しては、まず2科目選択するところから考え始めました。
普通の進学校なら既に受験科目を絞っていて当然なんですが、シンプリンは意識が低かったので、高2のこんな遅い時期に決めていました(笑)
結果的に日本史と地理にしましたが、合格者で多い組み合わせはおそらく世界史・地理ですかね。
まあ僕は日本史が好きだったのと、世界史はカタカナ多くてしんどかったっていうのがあって地理にしました。
自分の好きな科目で受ければいいと思います。
日本史は本当に好きだったので、嫌いな数学に飽き飽きしたときには日本史の資料集を読んでました。
僕が使っていたのは山川の図録でしたが、グラフィックが充実しているものなら何でもいいと思います。
意外に今後写真や絵を見ながら勉強する時間って取れなくなるので、この時期に資料集をパラパラ見ておくのはオススメです。
ちなみに地理は何もしていません(笑)
理科?何それ美味しいの?
理科はセンターでしか使わないので何もやってないです。
これは戦略上仕方ないことですし、何よりこの時期に理科を高めても本番直前に忘れている可能性が高いので、高3まで理科はやらなくていいかなと思います。
結果と反省
試行錯誤の中でこのような戦略を採用してみたので、果たしてこれが正解だったのかは疑問。
もう少し我慢して数学対策を厚くしておくほうが良かったなと思ってます。
青チャートは我慢して丁寧にやるべきですね。
ただ「英数を優先して他の科目は後回し」という方向性自体は間違ってなかったかなと。
発射段階でトンチンカンな勉強方法に突き進んでいかなかったのは良かったと思います!
次回【高3春夏編】に続く
部活動の集大成、そして引退と同時に始まる受験勉強…
どうぞお楽しみに。
